残念! 深川ホークスにサドンでサヨナラ負けを喫す
2月17日(日)、冬晴れの寒い朝を迎えたが、6時45分の集合には、選手全員が元気に顔をそろえて送別大会2回戦が行われる東グラウンドへと向かった。
相手は深川ホークス、東陽フェニックスが優勝した深川春季大会での対戦では、8−1で勝利している。点差だけ見ると楽勝のようだが、中盤まで本格派右腕の速球に悩まされたことを良く覚えている。また、今大会では1回戦で、越中島ファイターズを11−0で一蹴していることからも、エースもチームも春からの著しい成長の跡がうかがえる。
東陽フェニックスにとっては、決して受身になってはいけない難敵だ。
東グラウンドへ到着後、ウォームアップ、キャッチボールと試合前の緊張が高まる中、このところの厳しい寒さによる霜のため、グランド不良となり辰巳グラウンドへ移動することになった。しかし、ここも同様の理由で使用できず、再度移動して豊洲グラウンドでの開催となる。
折りしもこの日は東京マラソンの開催と重なり、試合前から周囲は警備や応援でざわついた雰囲気の中、1時間ほど遅れて10時前の試合開始となった。
1回先攻の東陽フェニックスは、先頭亀井のセンター前ヒットなどでワンアウト3塁のチャンス。続く増間は粘って四球を選び、1、3塁とチャンスを広げ4番村田。ここで、牽制に1塁ランナーが飛び出し、その間に本塁を狙った亀井がホームでタッチアウト。2アウト2塁となってしまい、チャンスを逸するかと思われたが、相手ピッチャーのコントロールが定まらず暴投で3塁へ、村田も四球で何とかつなぎ、1、3塁と再びチャンスを広げる。5番浅川の場面で、捕逸でまず先取点を挙げると、さらに浅川が、速球を叩いて左中間2塁打を放ち2点目。
何とか2点を取ったものの、チグハグな攻めで本格派投手にありがちな、不安定な立ち上がりを攻め切ることができなかった。点数を取れるときに取ることができず、後半、結果的に1点差勝負に持ち込まれてしまうことになる。
東陽フェニックスの先発は村田。このところ速球にも伸びが加わり、さらにランナーが出てもあわてず、彼のマウンドさばきも堂に入ってきた。初回も3番にセンター前ヒットを打たれるも、後続を断って無難な立ち上がりを見せる。
2回は相手投手も立ち直り、東陽フェニックスの下位打線をまったく相手にせず。対する村田も、その裏、エラーで1、3塁と攻められ、鋭いライナーをライトへ打たれるも正面の当たりとなり、ピンチを切り抜ける。3回表では東陽フェニックスが、増間の四球を足がかりに、村田のセンター前ヒットで追加点を挙げる。その裏のホークスの攻撃は、3番に再びヒットを打たれるも無失点に抑える。
3回まで3−0と、序盤は東陽フェニックスのペースだ。ここで豊洲グラウンドのルールによって、11時から12時まで野球場として使えず、試合が1時間中断される。その間、東陽フェニックスはランチタイムとなった。こういった中断される試合の場合、時間の使い方は、本当に難しい。この1時間で試合の流れを変えてしまうこともあるからだ。とにかく、緊張とリラックスのタイミングをうまく作ることが大事なことだ。
1時間の中断後、試合が開始された。注目の4回の攻防は、両投手ともに休憩中の調整がうまく行ったのか、ともに3者凡退に抑える。試合が動くのは5回だ。まず表の東陽フェニックスの攻撃で、亀井の四球、栗本のライト前ヒットでワンアウト1、2塁の後、ダブルスチールを決めて2、3塁となったところで、続く増間がセンター前にタイムリーヒットを放ち1点。さらに、1、3塁の場面で、次打者の4番村田がセンターへフライを上げる。3塁走者の快速ランナー栗本がホームを突くが、センターからの好返球に阻まれホームタッチアウト、追加点のチャンスを逃す。
この一つのプレーで、試合の流れが微妙に深川ホークスへ揺れることになる。その裏、ショートのエラーで出塁したランナーが、盗塁などで3塁まで進み、内野安打で1点。さらに、四球で1、2塁と攻められる。しかも、ピッチャーの村田が変わったセカンドと牽制のタイミングが合わず、その動揺を見逃さない深川ホークスにダブルスチールを決められてしまう。ここで4番にレフトオーバーの2塁打を打たれ、さらに2失点、4−3と追い上げられる。
6回の攻防、時間的に見て、この回が最終回になる。6回の東陽フェニックスの攻撃は、5番から始まるが、相手投手に簡単に退けられる。その裏の深川ホークスの攻撃、ワンアウト後、左中間へ2ベースを打たれるも、次打者をキャッチャーフライに打ち取りツーアウト。あと一つのアウトで試合終了だ。
ここで牽制のタイミングが合わないところを突かれて、3盗を決められる。しかしここでは暴投に注意しながら、打者だけを打ち取ることにに集中すれば良い。後半に入ってやや球威の落ちた村田だが、渾身の力をこめて次打者に速球を投げ込む。思い切り振ったバットに当たった打球は当たりそこね、フラフラっとピッチャーの前へ。ゲームセットと誰もが思った瞬間、村田のグラブからボールがこぼれる。軟球特有の回転のある打球がグラブをはじいたのか。深川ホークスのベンチは歓声に沸いている。4-4の同点だ。
野球の神様は、何とも厳しい試練を与えてくれるものだ。
気を取り直した村田は、続くバッターに四球を与えるも、後続をピッチャゴロに抑えてチェンジ。
同点となり、7回はサドンレスとなった。ノーアウト満塁の東陽フェニックスの攻撃。3塁浅川、2塁勝呂、1塁の野中がランナーとしてホームを狙う。バッターは宮崎。相手エースも必死の投球だ。宮崎は粘るもピッチャーゴロに終わる。無得点。続く石川は四球を選び待望の1点が入る。しかし後が続かず、この1点で東陽フェニックスの攻撃は終了する。
その裏の深川ホークスの攻撃。やはりノーアウト満塁から始まる攻撃だ。3番バッターを迎えて、疲れの見える村田は、それでも執念の投球。見逃し三振に打ち取る。三振が欲しい場面で、取れるのが村田の強み。しかし次打者は、前の打席で2塁打を放って気を良くしている4番だ。しかも満塁、逃げ場はない。村田はここでも渾身の力を込めてストライクを投げ込む。4番もその魂のこもったボールをフルスイングで打ち返す。
打球はライナーとなってレフトへ。必死に走って差し出すレフト勝呂のグラブから打球が跳ねるのが見える。3塁ランナーに続いて、2塁ランナーもホームを駆け抜ける。5−6のサヨナラ負け、東陽フェニックス6年生たちの最後の試合が終わった瞬間だ。
6年生にとっては勝利がするりと逃げて行ってしまった、悔いの残る試合だったろう。しかし、スポーツ(何でもそうかもしれない)に「タラレバ」は禁物。小学生最後の試合で、一球一球の大切さを印象強く学べたのは彼らにとって幸運なことだ。かけがえなのない経験ととともに、彼らは中学生に進級する。「今この時、この場所」を大切にして、さらに成長を続けて欲しい。
「夢の続き」はエンドレスだ! もっと強くなった姿を見せてくれ!! エンジョイ・ベースボール!!!
試合前の挨拶。彼らの背番号がまぶしい!
深川ホークスのエースの力投。将来性を感じさせるしなやかなフォームだ!!
村田のダイナミックなフォーム。もっと走り込んで強い球で相手を圧倒しろ!!!
6年生にとっては最後の試合となった。グラウンドへ感謝の挨拶!
塚田監督を囲んで反省会。彼らの進化に終わりはない。エンジョイ・ベースボール!