東陽フェニックスAチーム、横浜遠征でダブルヘッダー!8月28日(土)に錦町ドリームス(横浜市中区)にご招待していただき横浜へ遠征、ダブルヘッダー2試合を思い切り楽しんだ。
この日も太平洋高気圧が居座り続くカンカン照りの天気、まさにエンドレスサマーだ。東陽フェニックスの子供たちは、7時半に集合して一路横浜へと移動した。高速を使えばあっという間の30分の距離だ。
錦町ドリームスは、昨年春まで東陽フェニックスでプレーしていた和田樹斗が所属するチーム、昨年もその関係でお招きいただき練習試合を行った。和田樹斗は、このサイトでも紹介したように、今年は地区選抜チームの一員として、5月の連休には沖縄の選抜チームと対戦、横浜スタジアムで大暴れした。また、錦町ドリームスも中区の代表チームとして上部大会に出場している強豪チームだ。
今回のダブルヘッダーは、1試合目は錦町ドリームス、2試合目は中区のチャンピオンチームの本牧サンダースと対戦することとなった。
まず9時半にプレーボールとなった1試合目の錦町ドリームス戦。先攻東陽フェニックスのトップバッター、キャプテン渕上聖司が速球派の相手右腕エースの二球目を思い切り振りぬきセンターオーバーの先頭打者ホームランを放つ。しかし、さすがエース、動揺することもなく、すぐに立ち直り、後続を簡単に抑えられてしまう。
その裏、すかさず西長ドリームスも反撃、東陽フェニックス先発の浅川由樹が攻められる。先頭バッターに内野の消極的なプレーで出塁を許すと、四球、バント処理のミスで同点に追いつかれ、さらに内野のミスなどでこの回一挙4点を奪われてしまう。しかも2回には厳しい暑さのための体調不良で浅川由樹が無念の降板、マウンドを渕上聖司に譲ることになってしまった。
その後、錦町ドリームスは攻撃の手を緩めることなく攻め続け、東陽フェニックスは内野のミスから3回に2点、4回に1点と失点を重ねて1−7とリードを広げられてしまう。4回から錦町ドリームスは、和田樹斗をリリーフに送る。東陽フェニックスも5回表に山田宏樹のヒットなどで2点を返すが、6回に再び連打で1点を取られ3−8で最終回の攻撃を迎えることになった。
最終回、先頭の8番中瀬将輝が四球を選ぶと、9番の山田宏樹がこの日2本目のヒットを放ち、チャンスを広げる。ここで打順はトップに還り渕上聖司。ここでフルスイングした彼の打球は、右中間を深々と破り3点ホームラン。さらに、2番の具志堅駿、続く3番の斎藤大地の内野ゴロが相手のミスを誘い、具志堅駿がホームインして7−8の1点差ににせまる。今まで堅守を誇っていた錦町ドリームスだが、あまりの暑さのせいか守りのリズムを崩してしまったに違いない。
無死二塁から5年生の高橋広佑が送りバント、彼自身もセーフとなり、盗塁も決めて二、三塁、まさに押せ押せの場面だ。ここで続くバッターがスクイズを敢行、しかし無念の空振りとなり、三塁ランナーが挟まれアウト。このひと夏に取り組んできた必殺技のスクイズを繰り出したが、ピッチャーの和田樹斗の気合に押された形になってしまった。こうなると流れは一気に錦町ドリームスへ、和田樹斗のピッチングも冴え、東陽フェニックスは7−8で錦町ドリームスに惜敗を喫した。
錦町ドリームスは、本当に声の良く出る素晴らしいチームだ。守備でも攻撃の時でも、皆で声を掛け合い、励まし合う姿勢は、まさにハマっ子元気野球だ。東陽フェニックスの子供たちも見習わなければならない。
ところで、この試合、逆転されるといつもショボンとして、さらに相手に得点を許してきた今までの東陽フェニックスのパターンとは明らかに違い、最後までファイティング・スピリットを失わなかったことは大きな収穫だ。なかなかCチームの時から勝てないチームだったが、「最後まであきらめない」、「ネバー・ギブアップ」の気持ちを、チームとしてもう少し高ぶらせれば、必ず勝ちにつながり表彰台が近づくはずだ。この試合は、そんなことを子供たちが少しずつ理解してくれる「きっかけ」になってくれたのではないだろうか。
そしてランチ後に行われた第2試合、その期待が現実のものとなる。
対戦相手は本牧サンダース、今年の中区大会でのチャンピオンチームだ。錦町ドリーム戦の反省を生かして、どこまで食らいついて行けるかがポイントなるだろう。
先攻の東陽フェニックスは、トップバッターが湯沢直也、4番にはキャプテン渕上聖司、5番にこのところバッティング面でも成長著しい山田宏樹が座るニュー・ラインアップで臨む。
相手投手は本格派のサウスポー投手だ。クロスで入ってくるボールには手こずるだろうな、と思いつつ東陽フェニックスの攻撃を見ていると、2番の具志堅駿が初球を叩き、センターオーバーのホームラン。このところバッティング改造に取り組んできたこと、また夏休みの2000回スイングの結果が出た形だ。
昔は(なんて昔話をするとオジンくさいが)、先日練習をサポートしてくれた前中信人さん、小林雄士郎さん、また、2年前に甲子園に出場した関東一高の玉井駿佑さんなどは、とにかくホームランをかっ飛ばしまくっていたものだ。当時は練習の時だけでなく自宅でも、子供たちはとにかく良くバットを振っていた。今と違って人も大らかで、公園でバットを振っていると、近所のオジサンがいきなり熱血指導、なんてこともあったようだ。なかなか公園でバットも振れないご時勢となってしまったが、この夏、土日の練習では意識的にバットスイングを心がけた結果、おそらく知らず知らずのうちに、スイングのスピードもパワーも上がってきたのだろう。
話を試合経過に戻すと、さすが中区の優勝投手、すぐに立ち直ると、その後は東陽フェニックス打線を寄せ付けないピッチング、3回には三者連続三振に抑えられてしまう。
東陽フェニックスの先発斎藤大地は、初回、2四球を出すものの無失点に切り抜ける。しかし、2回に先頭を四球で歩かすと、一死からタイムリーヒットを浴びて同点、さらに自らのエラーで逆転を許してしまう。さらに3回には、四球を足ががりに味方のミスも重なって2点を奪われ1−4とリードを広げられる苦しい展開。しかし、東陽フェニックスも4回表には、疲れの見えてきた相手サウスポーエースから、斎藤大地の三塁線ヒット、渕上聖司のセンター前ヒット、阿部亮介のラッキーな内野安打で2点を返して3−4と点差を縮めた。
4回裏から球数が多く、しかも暑さでへばり気味だった先発斎藤大地から浅川由樹にスイッチ。午前中の無念の途中降板の悔しさを取り返すチャンスだ。しかし、トップバッターを迎える相手にとっての好打順を迎えて、その代り鼻、センターへのヒットを打たれ、エラーが重なりいきなり1点を失う。さらに味方のエラーと本牧サンダースの細かい攻撃によって、この回一挙に5点を奪われ3−9、大きくリードを広げられてしまった。本牧サンダースの選手の足はとにかく速い、その足攻に完全に乱されてしまった形だ。
しかし、浅川由樹は大量失点にも切れることなく、淡々と自分のピッチングを続け、5回裏を無失点に抑えて味方の反撃を待つ。このあたりが彼の成長したところだろう、味方を信じて自分のピッチングをする、ピッチャーとしてチームとして、とても大事なスピリットだ。
そして迎えた6回表の東陽フェニックスの攻撃、ここでついにフェニックスパワーが爆発する。相手投手は、この回から背番号1をつけた右腕ピッチャーに交代、なかなか生きの良いボールを投げる。その好投手に対して、まず3番の斎藤大地が内野安打で出塁、4番の渕上聖司がレフトへヒット、5番山田宏樹の内野安打でまず1点、そして6番の阿部亮介が右中間へタイムリーヒットを放ち6−9となる。
ここで代打は5年生の谷哲平。このところパワーに磨きがかかって、6年生のボールも吹っ飛ばす。その谷哲平がフルスイング、目の覚めるようなライトオーバーの3塁打を放ち1点を追加。続く浅川由樹はライトへヒットで谷が還って1点差につめよる。9番の中瀬将輝は送りバントでしっかりランナーを進め、さらに1番の湯沢直也がライト前ヒットでしぶとくつなぎ、自身も盗塁で2、3塁とチャンスを広げる。ここで2番の具志堅駿の当たりは、今までほとんどノーミスだった相手内野をかく乱する当たり、その間に三塁ランナーの浅川由樹がホームイン、ついに同点に追いついた。この時、この回まで静かだったベンチも全員が声を出し、最高潮に盛り上がってきた。
ここで終わらないのが東陽フェニックス、さらに4番の渕上聖司が逆転となる右中間の2点二塁打を放ちキャプテン、中軸としての役割を果たす。そしてとどめは5番山田宏樹がセンターに速球をきれいに打ち返して、2塁ランナーの渕上聖司をホームに迎え入れ、この回一挙9点を奪い、ついに12−9と試合を引っくり返した。
6回裏に相手4番にホームランを打たれ、12−10と東陽フェニックスリードのままな試合は最終回7回へ。7回表は相手ピッチャーも立ち直り、三者凡退に抑えられる。そして最後の守りにつく東陽フェニックス。ライトには、このところバッティングのみならず、守備での成長が見られる5年生の山岸廉也がつく。
7回裏、投手の浅川由樹は先頭バッターを三振にうち取るも、次バッターにストレートの四球を与えてしまう。かなりへばっている様子だ。この一死1塁となったところで、前の試合60球を投げたキャプテン渕上聖司がマウンドへ再び向かう。この夏の課題図書に「キャプテンはつらいよ」を選んだ渕上聖司。プレーでチームを引っ張れ、と檄を飛ばされてきた彼にとって、そしてチーム渕上にとってもこのピンチを切り抜けられるかどうか、とても大事な場面だ。
しかし、野球の神様はここで試練を与える。それとも本牧サンダースの粘りをほめるべきだろうか。替わったところで9番バッターに内野安打、さらに1番バッターにも内野安打を許してしまい、あっという間に一死満塁の大ピンチ。本牧サンダースのバッターも、叩きつけるバッティングで勝利への執念を見せる。
この大ピンチにマウンドに集まる内野陣。そして声をかけ合いそれぞれのポジションに戻って行くが、内外野から、そしてベンチからも大きな声がかかり続ける、勝利に向かってチーム一丸だ。マウンドに残った渕上聖司は日ごろと変わらぬポーカーフェイス、と思いきや午後の日差しを浴びているせいか、全身が燃え上がっているように見えるではないか。
そして2番バッター相手に投じた初球。まさにファイヤーボールと呼んでも良い尾を引くようなスピードボールが投げ込まれた。この球を見送ったバッターは、二球目の速球もバッターは当てるのがやっと。そして三球目、具志堅駿のミットに吸い込まれるように投じられたボールで見逃しの三振。二死満塁となり、続く3番バッターへも炎に包まれたようなボールを投じて2ストライクに追い込む。
そしてラストボール。さらに威力を増したボールは、一本の矢のようにミットめがけて向かって行く。それをフルスイングで向かい打つも、バットはむなしく空を切る、三振、ゲームセットの瞬間だ。
練習試合とはいえ、久しぶりにしびれる展開のゲームを見せてもらった。子供たちの野球は、ひとつの「きっかけ」で大きく変わるもの。東陽フェニックスの子供たちも、これを「きっかけ」にもっともっと大きく飛躍してもらいたい。
錦町ドリームスの皆さま、昨年に続き、練習試合にお招きいただきまして本当にどうもありがとうございました。また、練習試合にお付き合いいただきました本牧サンダースの皆さま、心より感謝しております。おかげさまで東陽フェニックスの子供たちも、しっかりと野球の勉強させていただきました。
また野球のプレーのみならず、マナーについても見習わなければならいことが多く、私どもスタッフ、父兄も大変勉強になりました。かさねがさね厚く御礼申し上げますとともに、今後ともご指導いただけますよう、どうぞよろしくお願い申し上げます。
最後に、錦町ドリームス様、本牧サンダース様のさらなる発展を心よりお祈り申し上げます。
頑張れ、錦町ドリームス! 頑張れ、本牧サンダース!! 頑張れ、東陽フェニックス!!!
後記:ところで、私にとって本牧は、父の仕事の関係で3年間ほど住んでいたこともある懐かしい場所だ。それに本牧サンダースの本拠地は大鳥小学校とのこと、小学2年生の1学期まで私も通っていた小学校だ。40年以上も前の話だが、小学校の前にあった(と思う)可愛かったあけみちゃんのお家はまだあるだろうか、良く通った床屋さんのバンビはどうなっただろう、いつもの駄菓子屋さんはまだやってるのかな、そう言えばオヤジと埠頭へハゼ釣りも行ったよね、三渓園には家族で潮干狩りにも行ったぞ、なんぞと昔のことを思い出しながら、帰り道に高速から本牧の何もかも変わった姿をチラ見して、気分良く東京の下町へ車を走らせた。
猛暑の中、2試合ともマスクをかぶり東陽フェニックスのホームを守ったキャッチャーの具志堅駿。バッティングでは本牧サンダースの好投手からホームランも放った。しかし錦町ドリームスのキャッチャーの田澤君は立派な体格をしていた、これから益々楽しみな選手だ。
錦町ドリームの先発小林君。ダイナミックなフォームから投げ込まれる速球は威力抜群。東陽フェニックス打線を苦しめた。
錦町ドリームス戦にセカンドで先発出場した5年生の仲田愛加。試合に出てもビビらなくなってきた。
東陽フェニックスに昨年春まで所属していた和田樹斗。錦町ドリームスに移籍してさらに彼の野球センスが磨かれたようだ。野球を知っている抜け目のない選手になってきた。
和田樹斗は4回からマウンドへ。体を一杯に使って投げるフォームに無駄はない。
錦町ドリーム戦でライトで先発出場した5年生の山岸廉也。課題の守備も安定し、この試合もレフトからサードに好返球、相手のホームインを阻止した。
第一試合はファースト、第二試合はライトで先発出場した5年生の村田礼央。パワーも随分ついてきて力負けしないようになってきた。チームにとって貴重な左投げ左打ち、さらにパワーをつけて中軸を任せられる選手になって欲しい。
第二試合ではトップバッターとして、しぶといバッティングで「つなぎ」の役目を果たした湯沢直也。また守備でも堅実さが目立ってきた。秋の活躍が楽しみだ。
第一試合では途中から、第二試合でサードで先発出場した5年生の中瀬将輝。第一試合では四死球で出塁し2得点を挙げ、第二試合では勝負どころで送りバントも決める活躍。ショートは斎藤大地、向こう見えるのはセンターの山田宏樹。
試合後に錦町ドリームスの子供たちと記念撮影。昨年は梅雨明けの7月お伺いしたが、8月も終わろうとしているのに空は真っ青な夏空、エンドレスに夏は続く。両チームの子供たちも思い切り野球を楽しんだ。
ランチ休憩の時に、錦町ドリームスの監督に水をかけてもらう子どもたち。
グラウンドの隣では中本牧シニアが練習中。中本牧シニアは全国大会の常連チーム、中学硬式野球クラブの名門だ。このチームには、和田樹斗の兄、和田真央(写真右)が所属、練習に汗を流していた。彼は東陽フェニックスに5年生から参加、全敗かと思われた富岡大会でピッチャーとして2勝をチームにもたらし、6年生では自ら立候補してキャプテンも任された。小学生時代は、地道にコツコツと努力を惜しまない本当に素晴らしい選手だったことが印象に強く残っている。一緒にマラソンをしたこと、厳しいノックに耐えたこと、彼とのいろいろなことが思い出される。中学生でも競争のメチャクチャ激しいチームで、個性を失わず彼流を貫いて欲しいと思っている。
第二試合は中区のチャンピオン本牧サンダース。両チームともに元気良く整列に向かう。
本牧サンダースの先発投手東君はサウスポーの本格派。クロスに入ってくる球に思わず右バッターがのけぞる。威力抜群のスピードボールを投げていた。
東陽フェニックスの先発は斎藤大地。制球に苦しむ場面もあったがスピードボールは一球品。投げまくってはじめて制球は身につけられるもの、これからも相手に向かって行く気持ちを忘れずにピッチングを続けて欲しい。
第二試合でリリーフに立った浅川由樹。荒れ模様の試合で流れを東陽フェニックスに向けた粘りのピッチングは素晴らしかった。フィールディングを磨けばさらに楽なピッチングができる。
センターフライに飛びつく山田宏樹。この日は、それぞれの試合で2安打を放ちバッティングで大活躍。このひと夏の成果が出た形だ。
目の覚めるような打球でライトオーバーの三塁打を放った5年生の谷哲平。彼のパワーがうまくバットに乗れば簡単に長打が生まれる。
右中間に2点二塁打を放った阿部亮介。一試合目の失敗をバットで返した形だ。第二試合は守備でも積極的に声をかけていた。
代打で登場した5年生の服部ビラル。ヒザ痛で出遅れているが遅れはいつでも取り返せる。谷哲平との2プラトンが組めれば東陽フェニックスの打線は破壊力が無限大だ。
第二試合の最終回7回裏の一死一塁の場面で浅川由樹をキャプテン渕上聖司がリリーフ。しかし、本牧サンダースの執念の攻撃で、逆転のランナーまで許す一死満塁の大ピンチにマウンドへ集まる内野陣。気合の入れ直しだ。
第二試合の最終回7回裏一死満塁のピンチとなったが、渾身のストレートを投げ込み連続三球三振、チームに勝利をもたらした渕上聖司。この試合、キャプテンとしてまさに獅子奮迅の活躍だった。内外野からも最後まで声が途切れることはなかった。
夏空がどこまでも続く。生い茂る木々の向こう側は海。潮風がとても気持ち良かった。